こんにちは、元公務員のみんです。
今回は、【公務員土木職の積算・設計業務】についてです。
私は某県庁の土木職として7年間はたらき、委託や工事の設計書はかれこれ100本以上つくりました。
私も設計書つくりではたくさん失敗しましたし、こんなこと早く知りたかったと思うことがたくさんありました。
私が昔の自分に伝えたいと思うことや、知っていたら少しでも仕事がスムーズに進むのではないかと思うことをまとめました。
これから公務員土木職になろうとしている人や、若手(1年目~7年目くらい)と呼ばれる職員のみなさんの参考になる情報をお届けできたらと思っています。
公務員土木職のみなさんに幸あれ!
この記事を書いている人
- 元公務員ブロガー💻
- 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 某県庁の公務員土木職として7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事などをメインにさまざまな情報を発信しています。
公務員土木が行う積算・設計業務について
積算とは、設計書をつくるために数字を積み上げることです。 例えば、土木でいうと、
掘削○○m³、埋め戻し○○m³、大型連結ブロック○○m²、張芝△△m²とかのことです。
工事や委託に必要な数字をはじいて設計書に組み込んでいきます。
私の勤める県庁では、設計書をつくるシステムがあり、そこに条件や数字を入れるとお金を算出してくれます。
積算初心者向けの工事費の構成などについて書いた記事もありますので併せてご確認ください。
- 工事や委託内容が似ている過去の設計書を探しましょう。
- その過去の設計書はいわゆる最高の参考書になります!
おそらく過去の設計書は5年分くらいは残っています。 その設計書をまねしてつくればいいのです。
私もはじめてのときは、何から手をつけて良いか分からずあせるばかりでした。
しかし、似ている設計書を見つければいいんだ!と気づいてからは、設計書をつくるスピードもぐんぐん上がりました。
ただしここで気をつけることは、何も考えずに数字を入れるのはNGです。
昔の設計書がまちがっている可能性があることは頭に入れておきましょう。
つねに、なぜこの条件なのか? 何を根拠にしているのかを考えてつくると、自分の成長につながります。
また、まわりの方々も忙しそうで聞きづらい…ってことも多々あると思います。
そんなとき、似ている設計書で6割でいいのでマネてみる、形にしてみるってことが大切です。 ある程度つくれていれば、先輩や上司にも質問しやすいですよね。
いっぽうでマネる設計書がないって場合もあるかもしれません。
そんなときは上司に相談して、市役所、県庁、他の土木事務所などに問い合わせるのもありかと思います。
公務員同士ですので、そういう情報共有もできます。
公務員土木の積算・設計業務➀歩掛や基準書について
歩掛(ぶがかり)とは、ある作業を行う場合の単位数量または、ある一定の工事に要する作業手間ならびに作業日数を数値化したもののことです。
だいたい、国が基準としてつくっているものを県や市は準用して使っています。(独自のルールをつくっている場合もあります。)
これがまた分厚いし、分かりづらいんですよね。
そのことを上司に聞いてみたところ、分かりづらくしているのは、一般の人が分からないようにするためらしいです。 技術職のプライドってやつなんですかね?
まあ歩掛に文句言ってもはじまらないので、がんばって読むしかないですね…
- 根拠となる歩掛や基準書はぜったいあるので必ず確認すること
おそらく、忙しく働いていると、設計書をつくる際もマネしてつくることに必死で、根拠を整理できていない場合が多いです。
しかーし! 公務員としてはたらくのであれば、「根拠」「基準」がすべてです。
なんとなく数字を入れてみてた…とか、過去の設計書がこうだったからという理由は絶対ダメですね。
逆に、すべて基準がある!と思って基準書を探してみましょう。
先輩や上司にも、分からないことについて基準書を確認したいと言えば相談にのってくれるはずです。
そして、つねに歩掛や基準書はアップデートされてたりするので、最新の情報を確認するようにしてください。
基準書が古いまんま…ということもざらにあります。 また、昔はこうだった~とかいう上司は要注意です。 まちがっている可能性【大】ですよ!
歩掛は、毎回確認するようにし、基準書はネットなどで最新版をチェックするようにしましょう。
自然に根拠は何かな~と考えられるようになったら、もうあなたは誇れる【ザ☆公務員】!
公務員土木の積算・設計業務②数量計算書でミスを防ぐコツ
数量計算書は、いわば設計書の数字の根拠となる大切な資料です。
この数量計算書をつくるのも大変なんですよね~
大量の数字をあつかうので、どうしてもミスが起こってしまう場合があります。 そんなとき私が実践しているポイントは、数量計算書を完ぺきにしてから設計書に入れるということです。
- 数量計算書を完ぺきにしてから積算システムに入れこむこと
どういうことかというと、私も設計書をつくりたてのときは、数量計算書や設計書システムに中途半端に手を出して、どちらの数字が正しいか分からなくなってしまうことが多々ありました。
そんなとき上司に、 「数量計算書をまず完ぺきにしなさい。」 と言われ、はっとしたのです。
何をできるっぷりして色んなものに手を出していたのだろうと…反省しました。
そこから設計書をシステムでつくるときは、わざと「ありえない」数字か、すべて100を入れて設計書の形にしておきました。
こうすれば、設計書として形をつくっておくことができます。 そしてありえない数字なので、数字をまちがえることもありません。
そして落ちついて数量計算書をつくり、数字を確認してから最後に設計書のシステムに打ち込めば、数量計算書と設計書システムの数字をまちがえることはありません。
この方法で設計書と数量計算書の数字がちがうなんてことはなくなりました。
大切なのでもう一度いいます。
- 途中段階の設計書システムには「ありえない数字」かすべて100を入れておく!
- 数量計算書を完璧に!⇒最後に設計書システムに数字を打ち込む!
ぜひためしてみてください。
公務員土木の積算・設計業務③図面(CAD)について
図面はCADを使ってつくります。
図面をゼロからつくるものはほとんどなく、コンサルがつくったものを発注用に手直しするのが主になります。
CADができない…という声もけっこう聞くのですが、正直これはCADを使い込むしかできるようにならないです。
私も社会人になって本格的にCADを使うようになりましたが、はじめの頃は本当にできなくてつらかったです。
しかし、CADは使えば使っただけできるようになります。 必ずできるようになります。
空いた時間にCADを使うようにしていたら、まわりの人よりもかなり上達して図面作成が速くできるようになりました。
CADを使うと言っても、私がやっていたことは文字を書いてみたり、縮尺を変えてみたり、色を塗ってみたりと単純なことです。
でもその単純なことのくり返しで意外と色んな発見があったりします。
また同期や同僚と、雑談レベルでCADの話をしてみるのもありです。
パソコン得意な人だと、意外と知らないテクニックを教えてもらったりできる場合があります。
- CADはとりあえず使う(いじる)
今がんばると後々本当に楽になりますので、負けずにがんばりましょう。
公務員の積算・設計業務に関連する発注者としての受注者への対応
受注者とは、工事や委託を請け負ってくれる業者のことです。(昔は請負者と言いました。)
このときに、設計書の内容について色々と言われる場合があります。
「~が設計書に入っていない」とか、「積算がまちがっているのではないか」などです。
私もたくさん言われてきました… けっこう精神的につらいですよね…
そんな時の対処法は、
- 歩掛や基準の内容についてきちんと把握しておくこと!
- 本当に設計が現場にそぐわないなら変更対応すること!
歩掛や基準の内容についてきちんと把握しておくこと!
そもそも受注者は歩掛の詳細な内容が分かりません。 設計書だけでは中身がよくわからない…ということが多々あります。
業者の中には、とりあえず疑問に思ったことは言ってみる!という人もいます。
そんなとき、その積算でどんな人工(技術者や普通作業員)が使われているのか、どんな機械(バックホウの種類など)を使うことを想定した歩掛なのかをきちんと把握しておきましょう。
業者に言われた時に、きちんと説明できれば相手も納得するはずです。
それには、やはり設計の中身を理解していないと対応できません。 ただ積算するだけでなく、現場をもつ受注者のことを考えた積算ができるようになるとトラブルを減らせます。
本当に設計が現場にそぐわないなら変更対応すること!
設計が現場にそぐわないというのは、本当に設計書にミスがあった場合です。
そもそも発注者と受注者は対等の立場にあります。
発注者が受注者へ求めるものがあるように、受注者も発注者に意見することは正当な権利であるということです。
昔は発注者さまさまな時代があったようですが、現在は対等であるとおしえられています。
ですので設計的にミスがあった場合は、きちんとみとめ謝罪し変更対応してください。
ただし気をつけたいのは、業者が現場をやりやすいように設計書を変更するということではありません。
業者に言われたことはまずまわりに相談し、変更対応が妥当であるかどうかを判断していきましょう。
これは、経験が必要になる場合が多いのでひとりでは判断できません。 どんどんまわりに相談してください。
発注者も受注者も立場はちがえど同じ技術者です。
きちんと話をすれば理解してくれる人もいます。 かならず話し合いの場をもつようにしましょう。
公務員土木の積算・設計業務まとめ
今回は以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。